2話:日本を救った金先物取引

2022-12-28

「有事の金」という言葉がある。有事とは戦争や、世界経済が危機に陥った時など、先行きが不安な時のことである。このような時には安全資産として金が買われるという意味です。そこから金は「ラストリゾート」、つまり「最後の拠り所」ともいわれています。

 

その金が日本を救ったことがあるという話がある。

 

1991年1月17日、米軍を主力とする多国籍軍がクウェートに侵攻、湾岸戦争が勃発しました。いわば「極めつけの有事」で、金は暴騰すると思われていました。この時、時差の関係により、世界で最も早く金の先物取引が始まったのが日本の東京金取引所(現東京商品取引所)でした。

 

予想通り、金価格は上昇で始まった。ところが、取引開始後30分で下落に転じたのです。多国籍軍は十分な準備を整えており、「長期戦」つまり「有事」にはならないとの見方が支配的になったからです。そして、金の下落はチューリヒ、ロンドン、ニューヨークに引き継がれました。

 

もし、東京で金の先物取引が行われていなかったならばどうなっていただろうか。日本の石油会社などはあわてて原油を高値で買い込んで大損したかもしれない。

先物取引が現物価格に影響を与えることから日本の大蔵省(=財務省の前身)は「シッポが頭を振り回す」と言ったことがありました。

アーカイブ
55話 オリンピックの金メダル

2024-07-03

金の小話 51話‐60話

54話 チャーチルとケインズの金戦争

2024-06-26

金の小話 51話‐60話

53話 黒死病で教会に金が山積み

2024-06-19

金の小話 51話‐60話

52話 江戸時代、金先物相場が出現

2024-06-12

金の小話 51話‐60話

≪免責事項≫

*提供される情報はサンワード証券株式会社(以下弊社)が信頼できると判断した情報源をもとに弊社が作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、弊社は保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
*弊社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
*掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。この情報に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、弊社は、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
*投資対象および銘柄の選択、売買価格、掲載内容の判断及び同内容に基づく解釈、契約締結等については、などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※商品関連市場デリバティブ取引・商品デリバティブ取引及び取引所為替証拠金取引(くりっく365)に関する重要事項についてはこちら(https://www.sunward-t.co.jp/policy/index.html)をご覧ください。