「世界最大の金貨」というと、だれもが秀吉の天正菱大判を思い起こすのではないだろうか。事実、そう書いている本もある。しかし、中世インドではそれをしのぐ重量の金貨が造られていたと言われている。
その金貨の名称は「モハ金貨」。17世紀、天正菱大判が鋳造されたのより少し後にインドのムガル帝国で造られた。重さはおよそ233グラム、品位は91.6%、1枚に200グラム以上の金を含有していた勘定だ。
秀吉の造った大判は約115~122グラムだったので、その約2倍の重さだった。
当時、ムガル帝国は繁栄の最中にあり、その象徴としてこのような金貨を造ったのではないだろうか。
20世紀にはカナダのメイフルリープ金貨、オーストラリアのカンガルー金貨、中国のパンダ金貨など、超大型の金貨が造られています。モハ金貨は重さがパンダ金貨の半分だが、カンガルー金貨の2倍以上だった。といっても、このように重いと、実用には適さず、商売に使われたとは思えないため、モハ金貨も家臣への報奨用や配下のマハラジャへの贈答用に使われたのかもしれませんね。