古代オリンピックはギリシャで生まれたゼウスをたたえた競技会で、ローマ時代に引き継がれ、293回行われた。年数にすると約1,200年です。
会場にはゼウスを祀った神殿も建てられました。ここには高さ約13メートルのゼウス像が建立されました。像は象牙で造られ、その上に黄金の衣服がかぶせられました。象牙を守るために湿度を一定に保とうと、像の前に水槽も作られました。アテネ像を造った古代の大彫刻家ペイディアスの作と伝えられています。
この像は約500年かけられて、コンスタンチノープルに移され、その後焼失。いまではその勇姿を見ることはできません。だが、ゼウス像は焼失して幸せだったに違いありません。なぜなら、コンスタンチノープルは東方キリスト教会の中心になったので、「異教の神ゼウス像」は焼失しなくても破壊された可能性が高いからです。
オリンピックは時代が下るとともに堕落しました。金を貰って競技するプロの戦いとなりました。オリンピックは優勝者には月桂冠しか贈らないですが、勝者は国に帰ると莫大な恩賞を手にするようになります。買収も行われていたとききます。ローマの皇帝ネロは買収によって六種目で優勝しました。買収にはたぶん、金が使われたことでしょう。
人間のやることは何千年たっても変わらないものなのです。だが、ギリシャではオリンピックの腐敗が進むのには長い時間を要しましたが、近代では100年強で金まみれになりました。人間はむしろ退歩しているのかもしれません。