カリフォルニアに次いで人口に膾炙しているのがアラスカのゴールドラッシュではないだろうか。アラスカのゴールドラッシュは産金量が多く、「アメリカ大陸最後のゴールドラッシュ」ともいわれている。ただ、〝アラスカのゴールドラッシュ〟といわれてはいるが、採掘場所はアメリカ領のアラスカではない。カナダの西海岸に面したユーコン準州を流れるユーコン川上流のクロンダイクという土地の周辺だった。
1896年、数人の男がユーコン川周辺で金を探していたが、食糧が尽きる寸前、川底にきらりと光る物資を見つけた。彼らはそれをシアトルに持ち帰ったが、時価5~10億円もしたとか。
以降、〝ゴールドラッシュ狂想曲〟が始まった。出発地である港のあったシアトルには約10万の男が集まり、船に乗ってアラスカに渡り、そこから険しい山を越えクロンダイクを目指した。危険な旅で、「金の採掘場にたどり着いたのは4万人程度だった」ともいわれている。この中には亡くなった者もいただろうが、多くは引き返したに違いない。1897年、アラスカの太平洋側のスキャグウエイからユーコン準州の州都ホワイトホースまで鉄道建設が始まった。1900年に完成したが、皮肉なことに、その時には金は採り尽くされていた。花ならぬ金の命は予想以上に短かったのだ。