アメリカ、カリフォルニア州にヨセミテという国立公園がある。半円形のドーム型ロック、1000メートルを越す垂直の岩、700メートルを越す高さ世界第2の滝……。グランドキャニオン、イエローストーンと並んで、「米国の3大国立公園」としても知られている。このヨセミテ国立公園の成立にはゴールドラッシュと自然保護運動が深くかかわっている。
ゴールドラッシュはサクラメント川の支流アメリカン川の中の砂金の発見で始まったが、川の中の砂金は上流、ヨセミテの地を含む山の中から流れ出たものだった。そこで、砂金を採ったあと、「上流の山を爆破して、金を含んだ土を砕き、金を採る」方式が採られた。古代ローマでは山頂から水を流して、金を含んだ土砂を流し、金を採掘したが、それをダイナマイトで行ったのだ。
しかし、この方法は自然を破壊する。そこで、自然保護運動家が自然破壊を阻止しようと国立公園にする運動を展開、1890年にヨセミテの地は国立公園に指定された。おかげで、金のみならず、石ころ一つ持ち出すことができなくなった。
それから百数十年。今ではヨセミテ国立公園の中を流れる川に土砂が堆積して、その中にキラキラ輝いているものを見ることができる。これが金かどうかはわからないが、多分、金に違いない。もっとも、それを採ったりしたら手が後ろに回る。御用心を。
ちなみに、最初の国立公園はイエローストーン国立公園だが、金は採掘されていない。