スペインは中南米を征服して、大量の金銀を略奪し、持ち帰り、それを基に金貨を造った。といっても、最初はそれほど立派な金貨ではなかった。16世紀、フェリペ2世(在位1556~98年)のころは見るべき金貨はなかった。フェリペ5世(在位1700~46年)の時代に重量約27グラムの金貨が造られたが、これも品位、鋳造技術では、いまひとつだった。スペインは金の強奪には優れていても、鋳造技術はそれほどではなかったからだ。
それが19世紀、イザベラ女王(在位1833~68年)の時代になるとまともな金貨が造られた。それも2種類。1つは10エスクード金貨で、もう1つは100レアル金貨。いずれもイザベラ女王の横顔が刻されている。
重量はともに8.6グラム、直径は22ミリ、品位は90%だった。2種類造られたのは使用する地域が違ったことがあった。ただ、日本の古銭商ではよく、8.37グラムのエクシード金貨が出回っている。
このころ、すでに、スペインは制海権をなくし、往時の力を失っていたが、ヨーロッパでは、この金貨が広く出回っており、ポルトガルの金貨と並んで〝両横綱〟の地位にあった。
このレアルは「ドル」の語源になり、アメリカが「ドル貨幣」を造った時の参考になったともいわれる。それは、ポルトガルの金貨とならび、ヨーロッパでもっとも広く使われていたからだ。