中国がついにトップに躍り出た。といっても、北京オリンピックの金メダルの数ではない。金の産出量の話である。2007年、中国の産出量は前年より33.3トン増え、280.5トンと南アフリカ共和国の生産量を10.6トン上回り、トップに立ったのだ。中国がトップの座に着いたのは記録がなかった昔はともかく、金の産出量が分かって以来、史上、初めての快挙だった。
もともと、中国は金資源が乏しく、大きな金鉱山が発掘されたとの方は歴史の本を読んでも出てこない。せいぜい戦国時代に「戦国の7雄」の1つといわれた長江南部の国楚で「金が採掘され、金貨が造られた」という話があるくらいだ。
とあって、どちらかというと銀志向が強く、昔は銀が通貨としてよく使われ、「銀本位性」ともいってもよい状態が続いていた。しかし、近年は国を挙げて産金量の増加に努めた結果、年々、産出が増え、ついにトップに躍り出たのだ。
特に、西域の辺境地域での産出が多いともいわれているが、山東半島など海岸に近いところでも採掘されている。南アの大幅減産という“敵失”もあったが、国が力を入れているため、その後も年々、産金量が増えトップの座を堅固なものにしている。この分では、当分、首位を続けそうだ。ただ、採掘条件は悪く、よく、落盤事故なども起こっており、時に死者が出たとの報が伝わってくる。