ギリシャ神話では人間を創った神は神々の王ゼウスとされている。それについ、こう記されている。
「ゼウスはまず黄金の種族を創った。彼らは神のように憂いを知らぬ心を持ち、労苦や嘆きも知らず、老いず、死ぬときは眠りにつくようだった」
ところが、黄金の種族が大地を覆い尽くすようになると、なぜか滅んでしまった。そこで、ゼウスは黄金の種族より劣った「白銀の種族」、つまり「銀の種族」を創った。白銀の種族は黄金の種族とは姿も心も似てもつかない存在で、互いに争い、神々も信仰しなかった。つまり、劣った種族だったのだ。
怒ったゼウスは白銀の種族を滅ぼし、今度は「青銅の種族」を創ったが、それも、互いに争い、神を信仰しなかったので滅ぼし、英雄の種族をつくった。しかし、彼らは、トロイ戦争でほとんどが亡くなった。
そこで、最後に創ったのが「鉄の種族」である。鉄の種族は、親は子を信用せず、子は親を敬わず、腕力に頼って他国を侵略し、「力こそ正義」と信じる不誠実な種族とされている。その子孫が我々ということになっている。
なんだか、現在の状況と符号している感がなくもない。現在は人々が小粒で英雄不在の時代といわれている。これも神々のせいかもしれない。