中南米最大の帝国で、金銀が満ち溢れていた帝国インカ。その都はアンデス山中にあり、クスコと呼ばれていました。人口は約20万。ここにはいくつかの宮殿とコリカンチ(=太陽神殿)や神に仕える若い女性を集めた「太陽の処女の宮殿」などがありました。コリカンチとは「黄金の家」を意味するインカの言葉。すなわち、太陽神殿は黄金で飾られた神殿でした。インカは祭政一致の帝国。太陽の神殿は政治と祭祀の両方を司る最も重要な建物だったそうです。
太陽の神殿は長さ68メートル、幅59メートル。クスコで最も大きな建物でもあったそうです。といっても建物が金で造られていたわけではなく、石で造られていました。しかし、その外側にぎっしりと金が張りつめられていました。金の板は、幅が2パルモ(約42センチ)、高さが4デート(約7.2センチ)。内側はくり抜かれて金の棒が詰められていました。奥には小神殿もあり、全面が金の板で飾られていました。その枚数は500枚あったといいます。
それだけではありません。祭壇には壁を覆った金の2倍の厚さの黄金の板でつくられた等身大の「太陽像」が安置され、戦いに勝つと生贄がささげられていました。両側には保存術を施された歴代皇帝の遺体が黄金の椅子に腰掛け、背後は黄金の背当てで輝いていたそうです。
これはスペイン人の記録に残されたもので、真実かどうかは不明とされています。