ローマの英雄カエサル。公正で民族差別などしなかったといわれております。ガリアを征服した時、ガリアの豪族の子息をローマに送って勉強させ、彼らの慣習も尊重しました。
だが、殺害と略奪を行わなかったわけではありません。金銀を奪い、征服した民を奴隷に売って金を集めたこともありました。
ローマの伝記作家スエトニウスはこう書いています。
「カエサルはガリアの神殿や神々の聖域からすべての金を奪った」
ガリアの人々は極めて信心深く、神を恐れ、神殿に金を納め、それには手を触れませんでした。それが溜まりに溜まっていたのをカエサルはすべて略奪したそうです。
カエサルは自らのポケットに入れた分もありましたが、兵士に配り、ローマの国庫にも
納入したそうです。この結果ローマは金が溢れ、当時1対11.9だった金銀比価が一時、1対9.3に下がったといわれています。「ガリアの金がインフレを起こした」のではないでしょうか。
カエサルの略奪でガリアは〝金欠〟に陥り、金貨を造れなくなり、40年後には銀も不足し、銀貨も造れなくなりました。それほどにカエサルの貴金属収奪は過酷だったのでしょう。