英国が世界経済を牛耳っていた時代、それを支えた金融機関がイングランド銀行である。イングランド銀行は英国の、いや世界の中央銀行的存在だった。それには国王の借金がからんでいた。英国では金商人が国家に資金供給を行っていたが、1672年、国王のチャールズ二世が債務不履行宣言を出し、金商人の多くが破産してしまった。
ところが、チャールズ二世はまた、商人に120万ポンドの借り入れを要求。困った、商人は120万ポンドの資本金を持つ銀行を設立、これを全額貸し出した。この銀行がイングランド銀行である。
また、イングランド銀行設立にはこんな話もある。「1688年、カリブ海に沈没したスペイン船から約25万ないし30万ポンドの財宝を引き上げ、出資者たちに1万パーセントの配当をもたらした。これがきっかけになって1692~1695年に株式交換ブームが起こり、イングランド銀行の設立につながったのだと、ケインズは断言している」(『黄金の世界史』)
ちなみに、「ケインズは金や銀の所在と繁栄や権力は同居する」とも記している。
古来「金は力のある所(=国)に集まる」と言われている。別にケインズが言わなくても、これは「金の常識」でもある。