92話 金券をつくったカルタゴ

2024-12-11

 古代ローマの好敵手だったのがカルタゴである。カルタゴはフェニキア人の植民都市で地中海はローマの対岸アフリカのチュニスの地にあった。地中海全域、いや大西洋まで足を延ばして交易を行い、莫大な富を築いた。
 北アフリカというと砂漠の印象が強いが、それは現在の話。当時は灌漑設備を完備させ、大量の農産物が採れた。カルタゴはそれを輸出して金銀を蓄えた。このころ、サハラ砂漠の南では金が採れ、サハラ砂漠を横断してカルタゴにも金が送られてきた。カルタゴはこのようにして集めた金を基に、紙ではなく皮のリボンで「金券」を作った。この金券は大変信用が高かった。カルタゴが保有していた金に裏打ちされていたからだ。いわば「兌換紙幣ならぬ兌換金券」。カルタゴは“金本位制国家”だったともいえる。この結果、カルタゴの通貨は地中海世界では、現在のドルのような地位を占め、国際通貨でもあった。
 国際通貨であったというと、「カルタゴは誠実な商人国だった」と思われがちだが、必ずしもそうではない。商人はスパイを兼ねており、その報告によって勝てると思ったら軍隊を派遣、征服した土地も多かった。『英雄伝』を書いたプルタークはカルタゴ人を評して「目下の者には傲慢、負けた時には卑屈、勝ったときには残酷」と記している。当時、「カルタゴ人の約束」とはラテン語で「裏切り」を意味するともいわれていた。とんでもない国家だったのだ。
 

アーカイブ
47話 東京オリンピック記念メダル

2024-03-13

金の小話 41話‐50話

46話 デラックスの語源

2024-03-05

金の小話 41話‐50話

45話 ロマノフ王朝の金塊

2024-02-28

金の小話 41話‐50話

44話 金のしゃちほこ

2024-02-06

金の小話 41話‐50話

≪免責事項≫

*提供される情報はサンワード証券株式会社(以下弊社)が信頼できると判断した情報源をもとに弊社が作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、弊社は保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
*弊社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
*掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。この情報に基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、弊社は、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
*投資対象および銘柄の選択、売買価格、掲載内容の判断及び同内容に基づく解釈、契約締結等については、などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

※商品関連市場デリバティブ取引・商品デリバティブ取引及び取引所為替証拠金取引(くりっく365)に関する重要事項についてはこちら(https://www.sunward-t.co.jp/policy/index.html)をご覧ください。