ヨーロッパを鉄騎の下に征服した英雄ナポレオン。彼は金貨も鋳造している。金貨の名称は「ジェルミナールフラン」、1803年に鋳造を開始した。
この金貨、1フランに含まれる金の重量は0.2903グラム。それまで、フランスでははルイ・ドール金貨といわれている金貨を製造していたが、その名称を一般に使われていた呼称「フラン」に変えた。「ルイ」は前の王朝の名と同じなので、嫌ったのかもしれない。もっとも、フランスではこの金貨を「ナポレオン金貨」とはいっていない。
フランスで「ナポレオン金貨」という時は、後世、ナポレオンの偉業をたたえようとナポレオンの甥ナポレオン3世(在位1852~70年)が鋳造した20フラン金貨のことを指している。この金貨、ナポレオン3世の横顔などが刻印されている。とにかく、発行枚数が多いので、古銭としての価値は低い。ただ、広義でナポレオン金貨という場合もあり、その中にはナポレオン1世の造った金貨も含まれ、フランスが造った5、10、40、50,100フラン金貨を含む場合もある。
ナポレオン3世は普仏戦争で敗れて退位、プロシャに多額の賠償金を払う羽目になり、あまり評判はよくない。しかし、彼は反対をものともせず、古いパリの街を取り壊し、現在の美しいパリの街並みを建設した。成田空港ひとつ満足に造れない衆愚政治の日本からみると、うらやましい限りだ。