金の鉱山会社といえば、「金を売る会社」と思われるが、「単に、それだけで利益を出しているわけではない。「金を買っている会社」もある。といっても、金そのものを買うのではない。「金のオプションを買う」というものだ。
オプションとは「プレミアムというお金を払って、将来、金を売買できる権利を購入する」というもの。例えば、金の価格が1グラム4000円の時にプレミアムを払って「金価格がいくらになっても4000円で購入できる(または売れる)」というような契約を結ぶ。そこで、5000円になっても、4000円で購入できる。
その4000円で購入した金を5000円で売れば1グラム1000円の利益が出る。もし、金の価格が4000円を下回れば金を購入しなければよい。この時、損はオプションを購入した時に払うプレミアムだけで済む。
オプションだけではない。これに加え、先物取引を利用するという手もある。金の鉱山会社が将来、採掘する金を先物取引で売る一方、オプションを購入するというものだ。販売価格より値下がりした時は先物取引で売った価格で現物を売ったと同じことになるので、利益が出る。オプションでは損をするが、オプションの購入で払ったプレミアより、金価格が下がれば利益が出る「金が上がっても下がっても利益を出そう」という戦略。鉱山会社もなかなかしたたかだ。