神武天皇が存在したかどうかはともかく、神武天皇は紀元前660年2月11日に即位し、この伝承を基に2月11日が「建国記念日」とされた。昭和15年(1940年)には「紀元2600年記念式典」が行われている。
この時詠われていた歌にこんな詩があった。「金鵄(きんし)輝く日本の 栄えある光身に受けて いまこそ祝えこの朝 紀元は2600年・・・・・・」(作詞増田好生、作曲森義八郎)。これは神武天皇が奈良に入ろうとしたとき、敵が阻止したが、「金鵄が敵に金の光を放って神武天皇を助けた」という伝説から来ている。この伝承を受け、戦前、金鵄勲章(きんしくんしょう)や天皇陛下から兵士に下賜するタバコ「金鵄」がつくられた。
金鵄勲章は1890年の紀元節(2月11日)に創設され、軍人で武功抜群のものだけに授与された。功一級から功七級まであり、軍隊での位によって貰える功級が決まり、年金も付いていた。将軍が貰える功一級で年額900円、兵士が貰える功七級で65円。形はほとんど同じだが、上に行くほど金が多く使われている。
受勲者は日清戦争で約2000人、日露戦争で約10万人、太平洋戦争で約62万人といわれている。それにしても死ぬ確率が高い前線の兵士ほど、功級が低いのもちょっと違和感を覚える。タバコ「金鵄」は当時、「恩賜のタバコ」といわれた。兵士の命はたばこの煙のようにはかなかったというのは言い過ぎだろうか。