古代ギリシャ最大の哲学者プラトン、アレキサンダー大王の師として知られていたアリストテレス。2人は錬金術にも大きな興味を持っていました。
ギリシャではエンペドクリゾという科学者が「物資は火、気、水、土から成り立っており、その組み合わせを変えれば金ができる」と言われていました。しかし、金ができなかったので、プラトンはそれを「4つの元素の境界面を配列し直すことで原子の相互交換ができ、金が造れる」としました。もっとも、それでも金は作れなかったそうですが。
この理論をさらに発展させたのがアリストテレスです。アリストテレスはこう考えていました。「物には精神的な質料と物質的な形相があり、質料が形相をコントロールしている。この質料を分析すれば究極の物質に達することができ、その物質はいろいろな形をとれるので、金も造れる」さらに、「火、気、水、土にエーテルを加えるとよい」としていました。
エーテルとはギリシャ語で「上層の空気」を意味する言葉。当時、ギリシャでは「4つの元素より上位の物質で、宇宙はエーテルで満たされている」と考えられていました。
もちろん、そんな物質はなかったし、金も作れませんでした。
しかし、アリストテレスの考えは後世まで錬金術に大きな影響を与えたと言われています。