「スイス銀行の地下に眠る金塊を奪おう」―こんなテーマの映画がある。それが『黄金の7人』。である。1965年に製作されたが、黄金をモチーフにした映画の極め付きともいえる。
ハリウッド映画では強盗ではなく、専門家を集めてプロジェクトを遂行するという映画が多いが、これも同じパターン。筋書きはごく簡単だ。知略に富む教授アルベールが中心になって道路の下から地下金庫に穴を掘って金塊を奪おうとする。その愛人がロッサナ・ポデスタ。映画『トロイのヘレン』でヘレン役を演じた女優だが、「傾国の美女」とはこういう女性を指すのではないかと思われる妖艶さだ。金塊の奪取には成功、7トンも手に入れるが、最後は仲間割れで「結局、手に入らない」という、この手の映画のお定まりな結果になっている。
この『黄金の7人』は大ヒットし、シリーズ化された。2作目が「続黄金の7人」。スケールの大きさといったらこれが一番だろう。物語はカリブ海の小国にソ連が大量の金塊を送り込み、中南米の革命資金としようとする。それをおなじみの7人が横から奪い取るというものだが、これまた、仲間割れしてとん挫する。
この時、ソ連の送付した金塊はなんと7,000トン。ただ、当時、ソ連はそんなに大量の金を持っていなかった。3作目は偽造紙幣を印刷しようというもの。印刷された紙幣は山と出てくるが、黄金の輝きはない。