「黄金の間」といえば、ロンドンの金価格を決めていたロスチャイルドの2階の間が有名だが、世界中の多くの地域にもそのような「冠」を付けた部屋がある。だが、極めつけはスエーデンの首都ストックホルムにある黄金の間ではないだろうか。
この黄金の間はスエーデン市庁舎の2階にある。1階では、ノーベル賞の授賞式が行われ、授賞式後、受賞者が階段を上がって、そこに行くというシステムになっていた。この「黄金の間」はその名に背かず、黄金に満ちている。部屋の周囲の壁に23.5Kの金箔何万枚も貼り付け、スエーデンの過去1000年の歴史を壁絵形式で描いている。24K(純度100%)にしなかったのが不思議だ。
この黄金の間は豪華さもさることながら、もっと由緒がある。それは1970年まで、ノーベル賞受賞者の晩餐会が開かれていたのだ。毎年、世界の知性がここに集い、スエーデン最高のシェフによる料理を国王夫妻や有名人と舌鼓を打つうことになっていた。ここの金箔は〝ノーベル賞の生き証人〟ともいえる。
ただ、残念なことに、座席が約700しかとれない。そこで「狭すぎる」として、いまは使われていない。ノーベル賞の授与は、世界的に権威が高まってきた表れともいえよう。この黄金の間は観光コースになっており、申し込めば、だれでも見ることができ、ストックホルム観光の目玉になっている。