金は土の中にだけあるわけではない。海水の中にも含まれている。それも半端な量ではない。NHKでは「海水中には約1900万トンの金がある」と推定している。
その理由は「海水1トン中に約13マイクログラム(1マイクログラムは100万分の一グラム)がある。それに海水の量を掛け合わせたら1900万トンになる」というものだ。
といっても、海水1立方メートル中に含まれる金の量はごく少ない。そこで、一般的な採金方法では採算が合わず、まったく採取はされていない。
ところが、それを採取しようとする試みが各種行われた。金は海藻やカニの殻などに吸着される。そこで、「海藻やカニの殻に吸着させ、それを焼いて金を採る」ことを研究している学者も日本にいる。結構、成功しているが、コストが高く、採算には合わないので、まだ、実用化されていない。ただ、科学の進歩は急。将来、もしかすると、もしかするかもしれない。
実は、日本より先にこれを試みた国があった。それが第一次大戦後のドイツである。ドイツは1320億マルクという巨額の賠償金を課せられた。これは金に換算約8万トンにものぼる。ところが、ドイツはそれに応じた金を持っていなかったうえ、経済が疲弊、払えそうになかった。そこで、窮余の一策として海中から金を採取しようと研究した。しかし、結局失敗、研究は2年で打ち切られた。いまはもう研究していない。