アレキサンダーはペルシャ帝国を破り、巨額の金銀財宝を手に入れ、「大王」と呼ばれた。だが、アレキサンダーが残した財宝がどうなったかはよく分かっていない。そこで、トルコや中央アジアでは「イスケンデル(=アレキサンダー)大王の金銀財宝が中央アジアのどこかに埋められている」という伝説が生まれた。
本当にアレキサンダーは奪った富を隠したのだろうか。彼は若いころ禁欲主義で、しかも財宝にはあまり興味を示していない。ペルシャから奪った財宝も多くは部下などに配っているし、ギリシャや故郷マケドニアにも送っている。アレキサンダーの勝利の秘密は先頭に立って戦った勇気と気前の良さにある。
それだけに、秘宝などあるはずがない。彼は征服した地にアレキサンドリアと名付けた都市を70建設したが、そこに金を残したとしても、長い歴史の間に、すべて奪われたことだろう。もし、アレキサンダーの秘宝があり、それを発見したら……。トロイの発掘やツタンカーメンの墓に匹敵する大発見になろう。
『ツームレーダー2』というアメリカ映画があり、ここでは「アレキサンダー大王の財宝がアレキサンドリアの月の神殿にある」という設定になっている。そこは地震で沈んだが、そこに「パンドラの箱」がある場所を記した玉があり、その争奪戦が繰り広げられる。もちろん、財宝探しの定番のように、アレキサンダーの財宝は手には入らない。