グリム童話の中に「金の卵」という話がある。筋書きはこんなものだ。
「毎日、金の卵を産む鶏がいた。持ち主が『この鶏の腹の中には金が詰まっているのではないか』と思って、鶏を殺し、腹を切り裂いたところ、金はなかった」
この話は「欲をかくとろくなことがない」という教訓とされている。
では、金の卵はどの程度価値があるのだろうか。卵は大きさによってL、M、S,SSなどに別れている。多いのはL、Mクラスだが、これだと重さは50~60グラム程度。そのうち、殻の重さは約1割の5~6グラムくらいだ。そこで、金の価格を1グラム6,000円とすると、卵1個の価格は3万~3万6,000円くらいにしかならない。
ただ、卵全体だとLクラスでは重さは50~60グラム前後になる。これがすべて金だとすると、30万~36万円になる。もし、鶏を殺さなくて、毎日1個の卵を産むとすると、1年では殻だけでも、金は1,095万円から1,314万円。全体が金だと1億950万円から1億3,140万円と1億をはるかに超す金が手に入る勘定だ。
昔から「卵は物価の優等生」といわれている。価格がいつも安く、なかなか上がらなかったからだ。金の卵より、家計には助けになったのではないだろうか。
また、日本ではかつて東北などから中卒の少年少女が上京して働き、それが「金の卵」と言われた。彼らはグリム童話の金の卵より、はるかに価値があったといえよう。