その名もずばり『黄金』という映画がある。1948年、米国で製作された。主演はハンフリーボガード。舞台は革命後のメキシコ。筋書きはこのようなものだ。
「まだ、山賊が跋扈していた時代、『山中に金鉱脈がある』との噂を聞いた3人が山中に分け入り、金鉱脈を発見、大量の砂金を手に入れる。ところが、砂漠で3人が山分けで争っているところへ、強盗団が現れ、砂金が入った袋を強盗団に奪われてしまう。強盗団の首領は、袋の中に砂金が入っているのに気が付かず、袋を開けたため、砂金が砂漠にこぼれ、砂に埋もれ、結局“骨折り損のくたびれ儲け”になってしまう」
白黒映画にもかかわらず、不思議なことに黄金の輝きが感じられる。最後にこんなセリフがある。
「人生はお笑い草。特に金がからめばきっとお笑い草に終わる」
金に絡んだ映画には最後に、面白いセリフが出てくることも多いが、「人生はお笑い草」という、このセリフもなかなか味がある。監督はジョン・ヒューストン。彼はこの映画でアカデミー監督賞を得ている。
ただ、金は極めて重く、風くらいでは吹き飛ばされない。砂金がこぼれ落ちた周辺の砂を集めれば、かなりの金は手に入ったのではないか。それでは「悪が勝つ」ことになる。勧善懲悪の映画がうけた時代。そのような結末は難しかったのだろう。