「金とドルの交換(つまり金本位制)を停止する」。1971年8月15日、米国のニクソン大統領がこんな驚くべき発言をしました。世界は第二次世界大戦前に金本位制を停止する国が続出していたが、米国はずっと金本位制を維持していました。しかしそれをやめるといったのです。これを人々は「ニクソンショック」と呼んでいました。
当時、米国は貿易赤字が続き、政府が保有していた金がどんどん海外に流出。それに堪えられなくなったのです。それまで1トロイオンス=35ドルで米国政府は金を売っていたが、売る行為を辞めたことで固定化していた金価格も自由に決められるようになりました。奇しくも、8月15日は日本が第二次世界大戦でポツダム宣言を受諾、降伏した日。このニクソン大統領発言は「米国の敗戦宣言」と思われました。
しかし、これは全くの誤りでした。金は価格が自由になったことで、少したつと糸が切れた凧のように上昇、今では1,300ドル前後と37倍前後になっており、金を保有していた人は大儲けしました。まさに、「ニクソン様々」。ニクソン大統領は金の恩人ともいえるかもしれません。
もっとも、これで一番儲けたのは米国政府です。なぜなら当時、先で最も金を保有していたのは米国政府でした。ちなみにそれは今も変わりません。逆に日本は金保有量が少なく、儲け損でした。「あの時、金を買っていたら」と思わずにはいられませんね。