35話 楊貴妃の壺

2023-09-06

江戸時代、福岡・黒田藩に「博多文淋」という黄金約2,000両もした茶器がありました。戦国時代末期、博多にいた大商人、神谷宗湛が不始末をした部下から、お詫びにと献上されていたそうです。これが希代の珍品。なにしろ「楊貴妃が使っていたと白粉壺」という伝承がありました。

 

そこで、太閤秀吉、徳川家康、さらには秀吉の軍師といわれた黒田長政も欲しがりましたが、宗湛は譲らず、秀吉に「日本の半分をくれるなら譲ってもよい」といったという逸話も残っています。

 

ところが、太閤秀吉、黒田長政が亡くなったあと、宗湛は黒田家に譲ったそうです。

この時、藩主忠之は「知行500石と黄金2,000両を下賜する」といったが、

宗湛は知行を辞退、黄金だけを受け取ったといわれています。

 

とにかく、だれもが欲しがったというわけです。

この壷、藩主も相続の時だけ1回しかみることができなかったとか。 

 

 もちろん、真偽は不明というより楊貴妃が使っているとは思えないですが、

戦国の英雄と楊貴妃を組み合わせた当たり、なかなか愉快なものです。

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