122話 忠義は賄賂次第

2025-05-21

 徳川時代注意、田沼意次という武士がいた。彼は老中になり、明和4年(1757年)から天明6年(1796年)までの20年間幕政を握っていた。この時代は「江戸時代で最も腐敗堕落した時代」といわれている。『江部見聞集』には田沼がこう言ったと書かれている。「金銀は人の命にかへがたき程の宝なり。その宝を贈りても御奉公いたし度と願ふほどの人なれば、その志上に忠なること明なり。志の厚薄は音信の多少にあらはるべし」実際に田沼がこう言い切ったかどうかははっきりしないが、多分、これが当時の一般的な田沼評だったのだろう。

 このころ、「長崎奉行になるには金2000両、目付には1000両の献金が必要」だったとか。目付はともかく、長崎奉行は「役得」があったことは十分、うなずける。元は取れたかもしれないが、1両で吉原の大夫が抱けた時代、この額は相当なものだった。

田沼の玄関には贈り物が山と積まれた。「運び込まれた箱を開けたら、生き人形(=生きた女性)が出てきた」との真偽不明な話もある。もっとも、当時、贈答は挨拶のようなもの。「田沼だけが賄賂を貰ったわけではない」とは今では常識になっている。ちなみに、後に老中になり、田沼攻撃を行った松平定信も田沼には賄賂を贈っている。

もっとも、田沼は贈り物を貰っても、贈り主が希望する官職につけなかった時はそれを返したとか。まるで「就職斡旋業」だが、それなりに筋は通っている。

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