フランス北東部にナンシーという街がある。アール・ヌーボー(新しい芸術)発祥の地として知られた街だが、ここに世界遺産にも登録された「黄金に輝いた広場」がある。
ナンシーはかつてロンーヌ公国の首都だった。この広場は15世紀、ルイ王朝時代に作られ、「国王広場」といわれ、広間の中央にルイ15世の像が立っていた。ところが、フランス革命でルイ16世が断頭台の露と消えたあと、この地を支配し、広場の建設を指揮したスタニスタス公の像が建てられた。それにちなんで、この広場はスタニスラス広場と呼ばれるようになった。
この広場には4カ所にロココ様式の門があり、それがすべて蔦の形をした黄金によって彩られている。てっぺんが金で飾られた凱旋門もある。広場の中には1本2万ユーロ以上かかった電柱などもあり、これも金が施されている。
広場全体が金で覆われているわけではないが、要所要所に金を効果的に使い、それが全体として、気品のある広場になっている。黄金を飾った広場というと、何か俗っぽい感じを受けるが、さすがフランス。洗練された広場ともいえよう。広場の片隅にはエラスのあるレストランもあり、ちょっと一服というのもなかなか粋な感じだ。
ナンシーは金箔で知られる金沢市とは姉妹都市になっている。金沢から輸入した金箔を施した石鹸なども作られている。