中国の王朝清では歴代王朝と同じように取引にはもっぱら銀貨が使われていた。だが、金貨が造られなかったわけではない。名称は「大清金幣」。1907年、第11皇帝光緒帝(在位1785~1908年)の時代に造られ、1両は「庫平一両」ともいわれた。重さは37.301グラム、金の含有量は19.2グラムだった。
ただ、日本の古銭商では重さ37.1グラム、金の含有量21.6%のものが売られており、必ずしも公式の重さとは一致していない。重さがかなりいい加減だったかもしれないし、削られたのかもしれない。
この金貨、表に龍や雲の文様が描かれ、龍には爪が5本ある。5本の爪をもった龍は皇帝の印。それだけ、金貨に権威を与えていたようだ。裏では「光緒丁未年造、大清金幣、庫平一両」という文字が刻されている。
日本で明治時代に造られた20円金貨にも龍が刻印されている。これと併せ、「東洋の双龍」ともいわれている。とはいえ、この金貨がどれほど造られ、どれほど使われたかははっきりしない。
その後、辛亥革命後に、若干、小さな金貨、「庫平一両金貨」が造られた。これも数が少ない。「現存するのは約100枚」との説もある。希少性から高値で取引されている。