2021年2月、BSNHKで『大アマゾン、黄金を求める男』という番組が放映された。ブラジルのアマゾン川奥で、黄金を掘っている男たちを描いた番組である。この地では、いくつかの不文律がある。「犯罪者かどうかは問わない」、「本名は名乗る必要がない」、「金を盗めば追放、時に殺される」、「米と豆以外は自分で集める」などだ。
採掘は集団で行われ、配分は平等。いわば共産主義に近い方式だ。ただ、働きが悪いと仲間から追放される。「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」という、毛沢東の人民公社とよく似ている。ただ、人民公社では働かない者が続出、大飢饉に陥って数千万人が餓死したが、ここではみなよく働いている。
採掘は「金がありそうなところに水をかけて、その土を崩し、その中から金を取り出す」という手法。かつて、古代ローマがスペインで行ったのと同じような方法だ。これによって自然破壊が行われるが、生きるためにはそんなことはかまっていられないという感じ。
だが、何十年たっても、思うような金は採れないケースも多い。そこで、「黄金の夢が破れれば、密林のどこかで果てなければならない」と結んでいる。ここで生まれ、一生を金採掘に捧げる男もいる。たとい、金を掘り当てても、一般社会に入って、生活できる男がいるとは思えない。金採掘の話だが、実は同じような話は金の採掘以外でもごまんと転がっているに違いない。